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Posted on 7月 3rd, 2008 by SEEBRA.
Categories: etc, Sciety, Animal, Art.
『犬を飼うってステキです -か?』
こんな問いかけをタイトルにした小冊子がある。
今から8年も前に、東京都の衛生局(現在は福祉保健局)が制作した、これから犬を飼いたいと思う人へ向けた45ページからなるショートストーリーだ。
見てのとおり、画風は今どきの人気漫画のようなカッコいいものではなく、
いかにも時代を感じさせる。
そして、もちろんこれは子供向けに作られた本なのだが、しかしこれが大変に素晴らしい出来で、大人が読んでも大いに心を揺さぶられる内容となっている。簡単に言えば、『感動』させられるのだ。
このプロジェクトがいくらの予算でなされたのかは知る由もないが、この仕事をダイレクションした人は本当にすごいと思う。
犬を飼うことにともなって発生する様々な障壁、必要な努力、考え方、これらを順序だてて分かりやすく説明し、しかしそれを全部やっても得られるものは、
「こんな事だよ」と導く。
(犬を飼うことで得られるものって・・?)
一方的に教え込むのではなく、状況を理解させ、判断は情緒を持って自分で考えさせる。理想的なインストラクションの形を実現していると思う。
そして、この内容は犬だけでなく他の動物はもちろん、人対人の関係にも通じるものがあるんじゃないだろうか。
自分にとってかけがえのない気持ちとはなにか。それができた時、まず自分はどうあるべきで、それとどうやって付き合っていくべきなのか。
そんなことまで考えさせられた。本当に素晴らしい。
それからもう一つ考えたことは、この冊子から受けた強烈な『訴求力』。
営業関連の仕事などしていると、「プレゼンテーション」という場にぶつかることがある。顧客に対して、自社商品の売り込みだったり、研究結果の発表だったり、とにかく「伝える」ことが問われる場だ。
今回、やはり思ったは「本質をつかんでいること」の大切さ。
プレゼン資料というと、どうしてもつい「技巧」に走りがちだ。フォント、カラー、アニメーション・・、もちろんそれは無駄な努力ではない。しかし、まず主張が物事の本質をとらえていることがあっての上だ。
本質をつかんでさえいれば、資料はシンプルであってもこのように訴求力は自然とでてくるものなのだと思う。
今回の冊子は、実体はつたない漫画であり、ファイル形式はPDFで、ブラウザで見るには静的htmlのページ送りというI/Fだが、制作から8年が経ち、
リッチコンテンツがこれほど氾濫する現在であっても全く色あせていない。
おそらく今から更に8年後に見てもまだ光っているだろう。
本当にいい仕事だと思う。めずらしく東京都に感謝。
(まあ、そんな理屈はともかく、とにかくステキな話です)