ガイアの夜明け 第321回

Posted on 7月 2nd, 2008 by SEEBRA.
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2回続けてテレビネタです
(といっても2週間ぶりだろうが、という突っ込みは置いておいて・・)。


毎週火曜日20:00からテレビ東京で放送されている
ガイアの夜明け

7月1日放送の第321回のテーマは、

人手が足りない… ~揺れる外食チェーンに秘策は?~



外食業界最前線の人手不足が深刻である。若者のアルバイトやパート労働力を大きな戦力に活用して厳しいコスト競争を展開してきただけに打撃は大きい。本特集では背景となる外食業界の現状を探ってみる。
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この番組も結構好きで、毎回ではないがテーマに興味が湧いたときだけチェックしている。
今回のテーマにはその自分アンテナが反応し一応録画しておいたのだが、これがまた意外と良かった(ちなみに、テレビ東京はワールドビジネスサテライトなどをやっているだけあって、こうした実際のビジネスシーンや社会経済に関する視点は、バラエティ迎合の民放他局よりよっぽどいいと思う)。

今回の番組内容の詳細については番組サイトをご参照。


放映された内容からトピックだけ整理して抜き出すと、

【現状】
・飲食チェーンでのバイトは最近の若者に人気がなく、どこも人手不足

【事例】

午後、急に暇になったので、携帯サイトで今からすぐ(今日の数時間だけ)できるバイトを検索する大学生Aさん。
結果、「4時間後からできる3時間だけのバイト(居酒屋ホール係)」に決定。即採用となる。


→考察
便利な世の中。お互い面接に1日とかかけてられないニーズを補完しあう、なかなか効率的なシステムに感じた。信用度の議論もあるだろうが、ネットオークションなどと同様、こういうのはある程度適切なレベルで回るのだろう(≒性善説)。
しかし、Aさんの仕事ぶりは実際にかなり良かったと思うが、時給が手取り¥1,000だったのに少し驚き。飛び込み採用なのに結構いいんだな・・。
まあそれが市場価格(それだけ飲食は人手不足)ということか。


激安が売りの居酒屋チェーン「さくら水産」では、バイトの6割以上が外国人留学生。ただし、雇用条件は日本人の場合と同じで格差はつけていない。
更に現在は座席からのセルフオーダーシステム導入をテスト中。


→考察
今まで安いから外国人を採用していると思っていたのだが、そうではなかったことが驚き。そうであればその企業マインドには共感を覚える。
セルフオーダーシステムについては、狭義ではカラオケのリモコン、広義では通販やEコマース全般に通じると理解。このニーズ(商品情報を伝えて注文はセルフ)を徹底的に深堀りするってのはありだよなぁ・・といろいろと思考実験に発展。


急成長中の企画系レストランチェーン「ダイヤモンドダイニング」。各店舗ごとに決まったテーマがあり、メイドはもはやいうに及ばず、シンデレラやベルサイユ、不思議の国のアリスに竹取物語・・など多彩を極める。
バイト希望者は「楽しそうだから」という理由でやって来るし、客受けも今のところ総じて良い。


→考察
『100店舗100業態』というビジネスコンセプトは新鮮だった。ポートフォリオとして考えても強そうだと直感するので、投資家受けもよさそう。
客が飽きてきて個店の売りが伸び悩んだらさっさと改装して次の企画、という戦略をとるのだろうか。いずれにせよヘタな鉄砲でもよいので企画力は大事と再確認。


モスバーガーでは、若者だけでなくなんと70歳代の高齢者をホール係で採用。しかしこのお年寄りならでは気配りのきいた丁寧な接客が好評で、若い客から通称「モスジーバー」(モスのジィちゃんバァちゃん)と呼ばれ支持され始めている。


→考察
典型的な、眠っていた新たな付加価値の創造例。
win-winな関係は、その当人達が気持ちいいゆえ、周りで見ている方も気持ちがいい。


・・等々、
今回も色々なインスピレーションを得ることができました。テレ東に感謝。

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プロフェッショナル 仕事の流儀 第89回

Posted on 6月 20th, 2008 by SEEBRA.
Categories: etc, Sciety, Animal, TV.

NHKで毎週火曜日に放映されている
プロフェッショナル 仕事の流儀

管理人の好きな番組の一つで、基本的に毎回観ている。
毎週一人のその道のプロといわれる人間にスポットをあて、その仕事ぶりのみならず、その人の持つ世界観などについて掘り下げていくドキュメンタリーだ。

前々回、6月10日放送の第89回は、「獣医師 齊藤慶輔」編。
録画しておいたものをしばらく前に観た。
この番組では、全国的にすでに著名な人物も取り上げられる反面(将棋の羽生善治など)、全く知られていない人もよく取り上げられる。今回は明らかに後者のパターンだ。
そんなに面白くない回かな・・とあまり期待せずに観たのだが、これが意外なほどに良かった。いや、印象深かったというべきか。ビデオを観終わってからすぐに頭へ戻し、最初からもう一度観てしまったほど。こんなことはなかなかない。

(概要についてNHKサイトより一部引用します)
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釧路湿原の中にある齊藤の診療所。ここには、北海道中から傷ついた野生動物が運ばれてくる。治療の対象は、絶滅の危機に瀕したシマフクロウやオオワシなどの猛きん類だ。
広げると2メートルを超える大きな翼、鋭いクチバシや爪を持つ野生動物を相手にしなければならない。ペットや家畜と違い、野生の猛きん類の治療に教科書はない。齊藤は、試行錯誤を重ね、自ら治療法を編み出してきた。
だからこそ齊藤は、野生動物と向き合う時、覚悟をもって臨む。「動物の前にいるのは自分しかいない。最良を目指し、最善を尽くす」
野生動物の命をつなぎ止めるために、自らを追い込み、全身全霊で治療にあたる。



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獣医といってもちょっと特別で、ペットや家畜相手ではなく、野生動物専門。
そんな業態が存在がすることにまずは軽い驚きを感じたが、この齊藤医師が持つ『野生』に対する強い敬意と、それを表す仕事振りがすごかった。

重傷を負った野生動物は当然痛いとも痒いとも言ってくれない。ペットのように飼い主がそれを代弁してくれることもない。傷付いていても野生の証であるプライドは失っておらず、へたをすれば強硬な抵抗にあう。そのため、慎重に手で体の各部を触り、眼の光に注視し、自らも眼や時には言葉で訴えかけていくことで必死に何かを引き出そうとする。
野生動物との間には人間社会のような嘘や見栄や建前、演出や演技などが入り込む余地は一切なく、純粋な真剣勝負となる。それ故か、治療にあたる姿や表情には、医師自らも野生動物に立ち返ったかのような迫力があった。
高度な設備を使った手術や、各種薬剤の投与といった科学的な対処を施しつつも、「野生を維持し、いつか野に帰す」という使命は揺るがせず、そこへ最大限の努力を惜しみなく注いでいく。

「治すのではなく、治る力を引き出すのだ」、というそのポリシーには、貴重な野生動物達の本来の存在を守ろうというプロの流儀を感じるとともに、病気でもそれ以外でも、安易で短絡的な対処療法ばかりが蔓延している現代への違和感をあらためて呼び起こされる。
齊藤医師の仕事には、治療だけでなく、その後の野生に帰すためのリハビリ等においてもその気遣いや判断、そしてなにより自分の使命に対する純粋な想いが強く感じられた。
飼い主もいない野生動物からは感謝の気持ちも言葉も何一つ得られることはないのに、なぜこれほど情熱を注げるのか。それもやはり過去の大事な経験があったからこそなのだろう。
自分の使命とはなんだろうか。こんな仕事振りをいつか自分もしてみたいと思った。

やっぱり医者という仕事は特別だな、とあらためて思う。
「患者を何とかして元の生活へ戻す」という使命は、獣医でも一般の医師でも同じだ。そして、いくら努力してもその想いがかなわない、心を引き裂かれるようなケースにもたくさん直面せざるを得ないという宿命も。
彼らの仕事は一般的なビジネスモデルや戦略などにあてはめて考えることは全くできない、異次元の崇高な世界だ。
通常の経済原理だけで医療を考えてしまっては、その本質に辿り着けることが絶対にない所以だろう。


それから、それとは関係なくもう一つ別に思ったのは、「野生の境界線ってなんだろう?」ということ。
今回出てくる野生動物には人間にはない尊厳を感じさせるエピソードがあった。おそらく、「野に生きていること」が野生の定義なのだと思うが、どの辺からが野に生きてることになるのだろうか? 例えばイリオモテヤマネコは確実に野生動物だろうが、ではノラネコはどうだろう? 都会のノラはNoで田舎のノラはYesなのだろうか。ペットの家ネコは明らかにNoだろうな。
そう考えると、人間にfeedされているのが非野生ということだろうか。どこに住んでいても、自分でエサをとっている場合が野生であり、それが野に生きている、ということなのかな。だとすればノラネコは半々の存在か。そういえばそんな気もするな・・。


そんな風にまた色んな刺激を受け、色んな方向へ思索を巡らせることのできた、なかなか意義深い回でした。
(しばらく寝かせていたわりには取り留めのない文章になってしまった・・)


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誰も寝てはならぬ - ポール・ポッツの奇跡

Posted on 5月 27th, 2008 by SEEBRA.
Categories: etc, Music, TV.

ちょっと感動的な動画を。といってもネタ自体は結構前のことですが。
すでに知っているという方はスルーしてください。


この動画の主人公、ポール・ポッツはイギリス人。
仕事は携帯電話のセールスマン。(※1)
30代半ばにして早くも中年太り全開の体形に、どうにも冴えない下ぶくれな表情。おまけに歯並びまで悪いときてる。
ぱっと見た目にも“タレント(才能)”という言葉とは対極にあるような男だ。
自らも「昔からいつも自分に自信が持てなかった」と話し、実際、小さい頃はいじめられっ子であったという。

そんな彼がある日、イギリスの一般参加型オーディション番組、
Britain’s got talent』(※2)
に出場した。

この番組は、一芸に秀でたアマチュアの一般市民が審査員の前でそのパフォーマンスを披露し、予選から準決勝、決勝へと勝ち上がっていき最後に優勝者を一人決めるというもの。
もちろんパフォーマンスは各自それぞれ何でもありで、チームダンスだったり、動物の曲芸だったり、少年マジシャンだったりする。
とはいえ、審査員は皆辛口揃い(※3)で、気に入らなければ途中でもすぐに目の前の「X」ボタンが押され、参加者は強制退場となる。

そんなステージにただでさえ風采の上がらない外見のうえ、だらしないシャツの着こなしで現れたポッツに、審査員達も明らかにしらけた感情を隠さない。
淡々としたテンションで「今日は何をしにきたの?」と冷たく問われると、彼はか細い声で答える。
「オペラを歌いに・・」と。

そこで見ている誰もが、彼の容姿とオペラというものをどうしてもすぐには結びつけることができない。
「それじゃ、ま、どうぞ」とまったく期待していないまま進める審査員。
しかし、ひとたび音楽が流れ始めると、それまで自信なく緊張を照れ隠ししていたような彼の表情は一変し、眼に光が宿り始める。
そして彼がみせた驚愕のパフォーマンスとは・・。


(日本語字幕付き)



何度見てもすごいなーと感じてしまう。
「夢は、このために生まれてきたんだと感じられるような人生を送ること」と言っていた彼は、こうして正にその夢を自らの秘めていた才能によって叶えてしまった。
これもおそらく彼が持っているであろう、いくつになっても忘れない純粋な心によって導かれたものなのか。
人間ってこんなこともできるのかと、勇気づけられるし、また何かを考えさせられますね。




※1
セールスマンとしての営業成績はなかなか優秀なものだったとのこと。
ただし、後に出演したTVインタビューで、「今は相当忙しくなったでしょう?」という質問に対し、「確かに忙しいけどセールスマン時代よりはまし」と答えている(ノルマがきつかったんだとか・・切ないですね)。

※2
Britain’s got talent』は今年の4月からシーズン2がオンエア中。
第2のポッツのような逸材が出てくるのかちょっと注目です。

※3
チーフ審査員のSimon Cowellは特に辛口で有名な音楽プロデューサー。
やはりアメリカの有名なオーディション番組『American Idol』で、当時のジェニファー・ハドソン(後にビヨンセ主演のミュージカル映画『ドリームガールズ』でアカデミー賞助演女優賞を受賞)を「あんたはまだ力不足」と酷評したほど。


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